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五色沼の色と謎
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このみどろ沼(深泥沼)ほど不思議な沼はありません。多分世界中を探しても一つの沼でいくつも色がある沼はないでしょう。単純にかぞえて3つ、青、赤、緑なのですから。写真では五色です。五色沼の中で最も五色沼らしい沼が「みどろ(深泥)沼」です。
標高790m、水深4.6m、透明度2.1m、面積11100u、そしてPHが5.8となっていますが、奥のPHと手前の緑の沼のPHは異なるはずですから、この5.8というのは中間をとっているかもしれません。なぜならこの上流の竜沼のPHは6.2なのです。緑の方は涌き水の部分でこちらから青いほうへ水は流れています。手前のPHは5以下と思われます(赤沼は3.8)。
この沼には赤茶色の部分があります。これは鉄分の多い土が酸化して赤くなっているのですが、それだけではないようです。ここ数年その赤さが濃くなってきているのです。実は鉄バクテリアが鉄分を食べているらしいのです。最近は写真に撮れば以前より赤く写るようになりました。(2017年のNHKテレビ放送で沼の中を撮影しましたが、この赤い色は水草に鉄分が付着して赤く見えているようです)
みどろ沼の奥の沼の色は冬季は薄い緑です。その時は竜沼も同じ色です。その理由は太陽の光線の入射角が低いこと、山の雪が水に映っていることが大きな理由といえます。雪が解けるときれいな水色になりますが、その時上流の竜沼も同じ水色に見えています。ただ違うのはみどろ沼は新緑になると奥の沼(この部分は長くて西側から東側へ細長くなっています)は少しずつ緑が濃くなってくるのです。理由は硫酸イオン、鉄イオン、塩素イオンが少ないので植物プランクトンが多い事です。水生植物(フトヒルムシロ)も伸びてきますから緑が濃くなっているのです。これは秋まで持続します。(この沼には東部にオヒルムシロという別の種類の水草が生息しており、どちらも酸性の水に強い植物です)冬季は水が冷たくて植物の活動が休むため水色になってきます。みどろ沼にはアブラハヤが生息しているのですが、これは上流の「竜沼」から流れてくる水と一緒に流れてきたものと思われます。
(2009年頃から奥の沼の色が変化してきました。空色にはならなくなりました。)
この沼には紫色に見える部分がありますが、これは枯れた葦が水中に堆積して赤く鉄が付着したところに青空が映って紫色に見えるとても面白くて不思議な現象です。天気が良くて鏡にならないと見えません。赤い泥の部分に青空が映っても紫になります。またこの沼は風がほとんどあたらないのです。赤松が防風林になっているからです。それでも風が強いと小波が発生しますから、白っぽい波と、赤い水がとてもきれいな中間色を見せてくれます。
また1996年春から発生している葦と葦の間のきれいな藻は毎年春に美しい色を見せています。とても目が離せない沼なのです。写真ではこの藻の緑に加えて木の影が一つの色として見えますので、フィルターを通して覗くと10種類以上の色を見るのはたびたびです。
そして東岸はまるで赤沼のような色と赤い泥が広がっています。5mも歩けば全く違う光景が見えますから、この沼ほど不思議な沼はありません。夏はほとんど木陰の沼になりますし、伸びる葦と水生植物のためとても同じ沼とは思えない沼に変貌します。
いずれにしても「みどろ沼」は「流れてくる水の沼」と「湧き出す沼」のドッキングが生み出した世界的にも例のないであろう「不思議な沼」なのです。また冬でもこの沼は凍結しません。竜沼が凍結しないので流れてくる沼も凍結しません。また涌き出す緑の沼は水温が一定のためかと思われます。 |
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