五色沼の色と謎

竜沼(たつぬま)

 この沼は「りゅうぬま」ではなく「たつぬま」ですが、名前の由来は不明です。みなさんの想像力でお考えください。私は1992年に見た倒木を竜にみたてた(写真)ものでした。現在は倒木の多さと潅木の成長がますます沼を見えにくくしています。冬季でないと沼はまともに見えません。
 標高795m、水深9m、面積10200uでPHは6.2の弱酸性湖です。上流の弁天沼のPHは4.5なのにこの竜沼は6.2というのは不思議ですが、それは途中から弱酸性の水が入ってくるためです。
 実際、竜沼の上にはたくさんの小滝があります。またこの滝の水源となる大きな池があるのですが、弁天沼からこの水源に流れる川の途中からも別の川が流れているのかもしれません。また竜沼の底からの涌き水も否定できないと思います。
 
 弱酸性のこの沼にはウグイやアブラハヤが生息しているそうですが、水質を考えると不思議ではありません。

 弁天沼の色と竜沼の色のちがいは水質です。弁天沼は硫酸イオンが多くPHはなんと4.5なのです。竜沼は硫酸イオンが大変少なくて、むしろ無色に近いと思われます。冬は雪を映して白かったり薄い緑だったり(ちなみに冬の猪苗代湖は晴れると緑になります)春は水色になります。沼の底に沈む珪酸アルミニウムの量が少ないのではないでしょうか。
 もうひとつこの竜沼の色がわかりにくい原因は、遊歩道と沼の水面の高低差です。太陽の散乱光を効果的に見るためには見下ろす俯角が大きいほうが良いのですが、水平に近くてはきれいに見えません。これからも視界をさえぎる木は多くなってきますのでやがては「幻の沼」になる可能性が高いです。

 この沼は冬でも凍結しません。風があたらないことと水温のためと思われます。この沼のPH値と因果関係はあるかもしれません。ひょっとすると温泉が湧いているかも知れないからです。

 竜沼は樹の陰で見えにくくなっていまいましたが、2021年に剪定作業が行われて見えるようになりました。




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