五色沼の色と謎
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弁天沼は毘沙門沼の次に大きな沼です。この沼はその大きさのために風が当たりやすく、鏡になることは少ないのでこの沼の中まで見るのはなかなか難しいですが、一度でも見るとこの沼の魅力のとりこになります。しかし次に来たときには裏切るのもこの沼でしょう。
標高810m、水深最大で6.7m、透明度4.0m、面積30300u、PHは4.5であり水質はるり沼(PH4.3)青沼(PH4.6)とほぼ同じです。これは直接るり沼の水が弁天沼に流れている為です。るり沼の水は滝となって青沼に落ちます。その流れは青沼に溜まり、あふれた水が川となって弁天沼へと流れています。これがこの3つの沼の水質と植生の共通点を生んでいるのです。
弁天沼は上流のるり沼、青沼と同様に硫酸イオンが多いのですが、五色沼の中では最も多いそうです。その理由としては沼の中に亜硫酸を含む地下水の涌き出る場所があると考えられます。実際に西部には緑色の濃いところがあり、珪酸アルミニウムが多く沈殿していると思われます。
酸性度の強いこの沼にはるり沼や青沼と同様にウカミカマゴケが生息しています。西部に集中しています。遊歩道から見ることができます。また東部にはフトヒルムシロが生息しています。
この沼のアイドルとなっていた小さな1本の柳は誰もが撮影対象にしたくなる木でしたが2004年に枯れてしまい、今ではその面影も感じられない枯れ木になっています。この木の南の入り江には葦がありますが、ここには珪酸アルミニウムの沈殿が見られます。そのため春には日が当たって美しいエメラルド色になります。これに気がついたのは2003年になってからですが、これからも注目すべき場所でしたが、倒木が景観を変えてしまいました。
弁天沼は鏡になれば沼の中を時折見ることができます。しかしこの沼も見下ろせる場所がほとんどなくて、水平方向にしか見えませんので縞模様の片鱗しか見えませんが、青沼から弁天沼へ歩くときに林越しに見る青い色は高い位置から見えるのでとてもきれいです。なお、展望台から見える山は手前が簗部山で奥に見えるのが西吾妻山です。
この沼は冬は完全に凍結します。大きいので風が強くあたり、そのために冷えるものと思われます。なお、展望台は2021年春に新しくなって、少し高い位置から見えるようになりました。 |
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